暖地によく見られるイスノキであるが、その北限に近い静岡県の下田に最大クラスのイスノキの巨木がある。
吉佐美の八幡神社社頭にはクスノキの巨樹が控えており、大きく樹冠を広げた雄大な樹形と太い幹とに目が奪われがちである。
貴重さではこちらイスノキが一枚も二枚も上手なのであるが、残念ながらほとんど見向きもされていないのが現実のようである。
社殿の裏側の薄暗い森の中に位置しており、いかにもじめじめとした雰囲気の中に立っている姿は、お世辞にも見栄えがするとは言い難い雰囲気である。
樹皮が不気味に赤みを帯び、樹木のことを知らない方が見たならば、この木の存在価値は全くわからないであろうと想像される。
境内にはナギやイヌマキなどが生い茂り、いかにも暖地らしい鬱蒼とした照葉樹林の森を形成しており、その景観は貴重なものと言っても良いだろう。
15年前ほどに訪問した際には解説板があったような気がするが、2007年時点では解説板は撤去されたようであった。
イスノキには虫癭とも呼ばれる虫瘤がたくさんでき、子供の頃には、虫瘤で笛を作り遊んだ方も多いことだろう。
イスノキは数多い日本の樹木の中でももっとも重い部類の材とされ、生木を水に浸けるとほとんどの場合沈むほどの比重を持つ。